仮面ライダー剣 MISSING ACE

書く書くと言いつつ、ようやくキーを叩くことに。
観たのは木場の109シネマズ。以前書いたようになぜ臨場感があるかというと劇中、二度目のアンデッド襲来(剣崎たちの前にビートルアンデッドが登場、続いて新世代ライダーが登場し、三人変身というところ)の撮影が行われた場所だったりするからだ(だから舞台挨拶もあったのね)。スチルで見ていたので行ったときにわかったが、帰りに改めて通ってみると感慨深いものが……(ついでに玩具売り場にはライダーのサインがあった、微笑ましいところだ)。
以下ネタバレ含むので……
ぶっちゃけ、これまでの平成ライダーMOVIEが「企画やらキャッチで客を呼ぶ」という策を講じていたのに対し、今回は真っ正面から「映画」を作ったという感じ(といっても、これまでの三作を否定しているわけではない)。もちろん今回だって、「最終回のその後」とか「新世代ライダー」などキャッチーなフックはあるにせよ、それに頼ることないシナリオ、演出だったことは間違いない(ハズ)。
故に、新世代ライダーの活躍がかすむくらいに格好いい剣崎対始(あえてブレイドジョーカーとは言わない)を冒頭で見せているわけだし。さらに最終決戦では、ブレイドの新たな戦闘形態キングフォームを存分に見せ、クロージングでレギュラーメンバーによる楽しげな一夜の様子を持ってきているわけだ(あそこのシーンだけでも望美がいても良かったのでは?とふと思ったりもするが……)。
つまり、ライダーとして正反対の立場の剣崎と始の物語の最終章として、相応しい「映画」でおあったわけだ。
かといって、それだけで終わらないのが凄いところ。
「剣」の世界観を保ちつつ、新たなヒーロー像を見せたグレイブ、ランス、ラルクの三人。特に最初の対スキッドアンデッド戦では、志村の飛び降り変身、そして軽い立ち回りの後の連続【MYGHTY】、で三人が三人「動き」や「仕草」で個性を見せながらフレームアウトしていく……と一連の流れがテンポ良く描かれており、TVでの四人ライダーと異なる印象を強調。一発で「好き」になるほどの魅力を醸し出している(もちろんソフビは速攻購入、出来れば武器付きが良かったんだけどね〜)。
で、それに対する四人ライダーはというと……。
ラス前の四人ライダー爆走シーンは文句なく「燃え」。TVなどで事前に見ることが出来たものの、ドラマの一部として見たときにはその方がより「燃えた」シークエンス。ここ最近のライダーではなかったシーンでもあるので、より感動が……(男泣)。でオーラスの三人同時変身はそれはそれで格好良く。剣崎の「戦うんだ、俺たちと始の力で!」(←そんな感じ)というセリフはマジで格好いい(ただその直後の「フュージョン・ジャック」「フュージョン・ジャック」「フロート」では、レンゲルが可哀想かなぁと)。
で個々に見ていくと――ブレイドは文句なく最初の決闘。ラウズせずに根性と気合いで放った「ライダーキック」が「クウガ」テイストだが、文句なくアレの方が格好いい! カードの力を借りず、己の力のみで放つ、ライダーキックらしいキック! あとはやはりキングフォーム。(聖闘士星矢よろしく)カードを各部に纏わせていくという演出はナイス。で、続けざまに放ったロイヤルストレートフラッシュも斬撃だけど、夕陽をバックにした最後のキメがイイ!
カリスはもちろん「その子に手を出すな!」でしょ。少ないながらも美味しいところは独り占めなところ。
ギャレンレンゲルは他のライダーに比べてややおとなしい気もするが、上映時間の関係でそれは仕方のないところ(ま、橘はああいう役回りだから仕方がないにしろ、レンゲルには伝家の宝刀【REMOTE】という美味しいカードで活かしているのがナイス)。でも睦月初変身後とか、ギャレン・ジャックフォームでの戦闘と、見せ場が用意されているのも凄い(詰め込み方)。
ともかくバトルをあれだけ見せながらも、ドラマとしてもちゃんと押さえるところは押さえて成立させているのは凄い。しかもクライマックスの始の最後からは泣けるし(またブレイドに変身させながらも、その瞬間は剣崎に「戻す」演出もナイス!)……書いても書いてもキリがないくらいいろんなことが語れる映画。また平成ライダーっぽさを出しつつ、前述したが「仮面ライダー対ショッカー」の構造も入れてる(←狙ってないと思うが)……井上脚本&石田演出恐るべし。無論、細かなところで否定的な部分もなきにしもあらずですが……しかしそれを吹き飛ばすほどの完成度。イヤホントにいいものを見せて頂きました。願わくば残りのTVもこのテンションで突っ走って欲しいところ。
にしてもこれだけのものを作ってしまったら、来年はどうするんだろうなぁ……(と去年も同じようなこと考えてた……)。