無題

ちょっと混乱というか整理が付かない感じ。
昨日の夜というか今朝というか、突然に入った訃報に驚いた。嘘だと信じたかったけど、結局本当だった。
で、思い出したこと。
小学生の時、第三次ウルトラブーム初期。小学館学年誌やてれびくん、それにコロコロコミックとかてんとう虫コミックスの「ザ・ウルトラマン」を見ては、ワクワクし、映像を見てみたいと思っていた。というときに公開されたのが「実相寺昭雄監督作品ウルトラマン」だった。ぶっちゃけ子どもだったから、監督の名前が出てくるよりも怪獣の名前が出てくる方がありがたいと思っていたけど、飛びつくように観に行った。
それがちゃんと監督の名前を認識した、最初だった。
変な撮り方で、メルヘンな作品という印象が強くて(で中身が皮肉というかメッセージ性が強いものだというのはあとで気付くことだったりする)、「怪獣無法地帯」に代表されるような、バトルが連続する!という高揚感は味わえなかったけど、大画面で観たその映像は確実に監督の名前と共に焼き付いたのだ。
また、ややませたガキだったせいもあって、大百科→ファンコレ&「宇宙船」というコンボで特撮マニアな方向へ進むにつれて、その名前はさらに強くなっていった。もちろん再放送もキッチリ観て、明らかに異質であることを確認。また同時に「ウルトラマン」という作品の魅力でもあるバラエティさの一端を担っていたんだな、と。
それから「ウルトラセブン」を観るとシニカルさ(当時はそんな言葉知らないが)を感じたりして、さらに特異な存在になっていた。
でも再放送でしか監督の作品を観られなかったので、期待して「波の盆」を観たけど、期待していた方向があさってだったので、映像がキレイというビジュアル面しか感じられなくて、ちと肩すかしを食らったのも良き思い出。で子どもから大人に向かっていたある時。監督が新作映画を撮る!というNEWSが入ってきた。「帝都物語」だ。
完成を追いかける「宇宙船」の記事は隅々まで読み、原作の小説を全巻読むほど、スゴイ期待していた。だって、あの監督が再び「特撮」を撮るから。もちろん初日に観に行った。この時期くらいから監督はいろんな作品を精力的に撮りだしていたような気がする。
いわば時代が追いついたかのような感じで。無論追いついたというだけでなく、日本映画そのものが変わってきていた時期でもあるのだが。
そうした一般向け(といってもかなりクセのある)作品で腕を奮う一方で「ウルトラQザ・ムービー」*1の監督や当時のメイキングをドラマに仕立てた著作「星の林に月の舟」やスーパークエスト文庫の「ウルトラマン」「ウルトラセブン」を発表して、ウルトラファンを喜ばせてくれたのもサービス精神旺盛な監督ならではのことなんだろうなぁと素直に嬉しかった。
で、それからいろいろあって、こんな仕事をしていると縁があるもので、一度だけ監督への取材をさせていただいたことがある。映像作品のことではなく、監修した食玩についてということだったので、ちと本筋とは外れるのだが、またそれだけ多芸な人だったという事でもある。で、いろいろと丁寧にお話していただく中で、微妙な毒を織り交ぜるなど非常に楽しい時間になった。
そんな監督がまたまた昔からのファンを喜ばせる企画を動かしていると聞いたのが「シルバー假面」だった。
物語の設定を聞いて、あぁまた好きそうなことやっているなぁ……どんなひねり方しているのかなぁ……楽しみだなぁ、という気持ちでいた。なんて漠然と思っているときに訃報が飛び込んできた。
哀しいというより、もう監督の新作はないんだなぁという寂しさの方が強い報せだ。
で、こうして書いているうちに「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ザ・ウルトラマン」の音楽を担当された宮内國郎氏が亡くなったという報が……。
「ウルトラ」シリーズが始まって40周年の今年に、なんで功労者のお二人が……と思わずにはいられない。
またどうしてこうも続くのか、何を言ってもどうにもできないのだが、なぜだか悔しくなってくる。
さよなら実相寺昭雄監督。さよなら宮内国郎さん。

*1:公開前の宣伝イベントとして特撮ステージ見学会というものがあって、今は無き国際放映のスタジオに行ったこともあったなぁ……子ども向けのイベントだったから中身はアレなのだが