中学時代。漫画部というところにいた。といってもただ教室で漫画を読んだり、画を描くだけのクラブ。冬のとある日、顧問が持ってきた漫画を読むだけの時間になった。俺が選んだのはてんとう虫コミックスの「ゲッターロボ」1巻。まったくの興味本位で中身を知らずに選んだ。ストーブでポカポカの教室の中、黙々と読む俺。だが本心ではメチャクチャ驚いていた。人を殺すことも厭わない空手使いや革命家が主人公だった。しかも肝心のゲッターロボはとうとう活躍しないまま1巻が終了。漫画版ってすげーなぁと思った瞬間だった。でも天のいたずらか2巻目以降が無かったため、その続きを読むことはできなかった。
それからだ。漫画版を描いた作家に興味を持ったのは。で手っ取り早いところで「サザンクロスキッド」を買った。原作者がついている漫画だったが、バイクを使ったド派手なアクションに魅了された。もうこうなると止まらない。ますますその作家に興味が……というより好きになっていた。
で「ゲッターロボ」の続きが読みたかったのだが、当時行き始めたばかりだった中野ブロードウエイでもプレミアがついていたりして、そりゃ手が出るモノじゃなかった。しかし、神はいた。いわゆるワイド版コミックスが流行りだし、昔の漫画が復刻され始めたのだ。KCワイドやサンワイドなど。今まで読んでいただろうけど、記憶の彼方に行っていた漫画たちが手元に戻ってきた。と同時に知らなかった世界も現れた。
プレミアがついて手が出しづらかった石森章太郎先生、永井豪先生などの諸作品をガッツリ読んだのは、この辺の時期が一番多かったりする中で、再び「ゲッターロボ」に出会った。あらためて読んだその世界は、刺激だらけだった。
さらに、そんな復刻のおかげでそれ以外の作品群に触れることができた。そりゃもう幸せな時期だった。というより今に続くものとなった。
虚無戦記MIROKU」「5000光年の虎」「魔界転生」「魔獣戦線」「ウルトラマンタロウ」「変身忍者嵐」「極道兵器」「スカルキラー邪鬼王」「ゲッターロボ號」「真ゲッターロボ」「ゲッターロボアーク」「魔界八犬伝」などなど。
順番はアレとして、旧作、新作問わずいろいろと読み漁った。よく見ると未完の物が多いけど、それはそれで想像が膨らませられて、楽しいものだった(もっとも後でまとめられるとは思ってなかったけど)。
その後、ゲッターが新たな形でアニメ化された頃。それをムックにしたり、連載誌で記事書いたり、仕事でも徐々に関われたりしたのはスゲー興奮した。
でも、もう二度と新作が読めないんだなと思うと未完の作品の続きが読めない以上にショック。正直、信じたくはなかったけど、仕方のない事なんだなと。
さようなら、石川賢先生。