見たぞ!

各所でケチョンなケチョンに叩かれまくっている「ゴジラFINAL WARS」。関東圏唯一の一般試写に行ってきた(関係者席に中野昭慶監督や金子修介監督の姿も……で上映後の出口では富山Pが観客の表情を伺ってるのが何とも……)。
ということで結論から言うと全然OK!でしたよ。
何といっても「ゴジラ」そのものが生みだし、受け継いできた「怪獣映画」というブランドを、「ゴジラ」そのもので完膚無きまでに粉砕したことが一番大きく、また清々しいのだ(←だから旧作にしがみつく人たちには駄目だったりするのだろう)。
内容はハチャメチャだし、どこかで見たような画と演出の連発に苦笑する部分も多いのだが、「東宝チャンピオンまつり」時代にあったパワーは感じられたし、何より北村作品の中では一番見られる出来になっているのも○の理由である。
で、一部で怒りが噴出している理由も何となくわかった。
そもそも第一作の「ゴジラ」は、「昭和29年における核」というテーマを時代性に合わせて描いた作品のハズ。それがいつからか「怪獣映画」の代表となり、何か目に見えない怨念のようなモノを、スタッフだけでなく視ている側もそこに寄っかかるようになっていなかったか? だけど今のちびっ子たちをメインターゲットとした最新の娯楽作品(←だよなぁ)としては、それはNGなのである。これまでのスタッフたちも精一杯抵抗してきたのだろうが、突き抜けることができなかった……。この辺は誤解を呼びそうだが、決して全てを否定しているわけでない。リアルタイムのちびっ子たちも含めた大衆への娯楽になりきれてなかった、ということなのである(多分そのギリギリが「キングコング対ゴジラ」だったのかも)。最近の作品でいうと、戦争映画のノリでリアルシミュレーションで描ききった「平成ガメラ三部作」、ロボットアニメのノリを取り入れた「ゴジラ×メカゴジラ」こうした良作ですら、過去の「怪獣映画」の枠の中での作品群であって、「GFW」まで飛ぶことが出来なかったのだと思う。
じゃあ何で北村監督はここまでぶっ壊すことができたのか?
物心付いたときに、TVや映画で様々な作品に触れるだけでなく、ゲームというメディアにも触れ、またド派手な洋画大作群に触れた監督だったことも大きいのかもしれない(このあたりは自分と北村監督が同じ歳なので何となくわかるところ。この年代の微妙な時代背景はいずれじっくりと)。
というわけで、映画なり娯楽というモノが時代性を映す鏡であるならば、特にちびっ子向けのものならば大きな変革するのもまた当たり前のことなのである。それがゴジラの場合、たまたま遅れただけのことだったのだろう。たとえ最初は叩かれようとも、新たな路線とファンを定着させた「仮面ライダー」のように変わることが当然のことであって、それを許さないというのなら、昔の作品だけ観ているのが幸せなのではないか、と思う(従って新作について苦言を呈さないこと!)。
アメリカで行われたワールドプレミアでのいい話【http://www.sanspo.com/geino/top/gt200411/gt2004120106.html参照】もある一方で、まさに(暫定的ではあるだろうが)最終作にして、初めて次世代へとバトンタッチが行われた作品がこの「GFW」なのであろう。
あと、俺だったら……というのもまたナシの話。そういう取り憑かれた人が撮ったものこそ、ファンとしての自慰行為以外のなにものでもないから。むしろビッグマウスと言われようとも、あれだけの規模で作品を動かした北村監督に素直に敬意を表すべきだろう(この辺りは紀里谷監督に対するアクションと似ているような気もする)。
小難しいことばっか言っててもアレなので以下、遠回しなネタバレありでザッと見どころなどを……。ちなみに観に行くときは複数でいった方が盛り上がること必至、です。
●開幕直後、「TOHO SCOPE」付きの東宝マーク! 第一作の中心メンバー三氏に対する一言!この二つでいきなりグッと来た(この辺りはゴジラファンなら、のサービス)。
●旧轟天の勇姿!
中尾彬上田耕一のキャスティング!
●ミュータント兵の紹介が武富士ダンス……苦笑
●吹き替え版の方が昔の東宝映画テイスト丸出しで面白いぞ(格闘技ファンには申し訳ないが……)
●世界各国の空中戦艦がサイコー!
水野真紀の足!
●怪獣が世界各国で暴れ回る姿はまさに「怪獣総進撃」のVerアップかと
●宮澤亜里沙
TVタックルの再現
●北村監督、長々と出過ぎ。ここが一番、カットすべきところだろうが!
伊武雅刀の笑顔
●昭和メカゴジラのテーマ
●おバカなNY市民と警官
●日本刀を持ったドン・フライ
●女好きのドン・フライ
●常にハイテンションな北村一輝
●船木の男っぽい最後……
●物わかりの良すぎる國村隼
●新轟天のヤマトっぷり
●爆発をバックに見栄を切るガイガン!(超合金でガイガンが出る理由もわかる! その反対にX星人のソフビは……わからなかったんだろうなぁ、登場の仕方が……)
●日本へ向かうまでのゴジラ轟天の鬼ごっこ
●ジラの最後。と北村一輝のつっこみ
●シートベルト……お前でもしないといけないのか?
キングシーサーアンギラスラドンの最後(まるで再生怪人のような扱い)
ヘドラの扱い……ひどい
●巨大化するアイツ
轟天X星人母艦との戦闘。まるで「さらば宇宙戦艦ヤマト」。
●モンスターエックスのアクション。まさか怪獣にあんなことやそんなことまで……。ちなみにラストバトルは「ゴジラ対メガロ」の布陣かと。
モスラガイガンの空中戦、のオチ。西部劇か時代劇にあるお約束のノリ
松岡昌宏スーパーサイヤ人
●日本刀を武器にしているくせに、それよりも拳で勝負しようとするドン・フライ
マウントポジションでガツガツ殴るゴジラ
●ラストでぬけぬけと出てくるアイツ(つーかバンダイホビー事業部のポリストーンコレクション。まさかオーラスを商品化しているとは思わなかったよ……)
いや結構、突っ込めるなぁ(笑)。一応まとめると……「マトリックス」なアクションに「スター・ウォーズ」「ID4」風味の戦闘シーンといった洋画大作のテイストはもちろん、果ては「ドラゴンボールZ」に、(艦載機の使い方が)「惑星大戦争」や「宇宙戦艦ヤマト」だったりと、多くの作品の美味しいところを取り込んだ非常にお腹いっぱいのお祭り映画。多分これ以上につっこみどころもあるので酒飲みながら(もしくは飲む前に)ワイワイ観るのが一番いい映画、でしょう。あとサントラは意外にも欲しくなったよ。
ただ最後に一言。主役のゴジラが登場怪獣の中で一番アクションしてないし、格好悪かったのは勘弁して欲しかった。この辺りは造型も含めて猛省を促したいところだ。